エッジAI

エッジAI

エッジAIとは? アンドールの取り組み

最近、エッジAIという言葉をよく耳にしますが、従来のAIとは何が違うか、文章だけではイメージしにくいものです。「エッジ AI とは何か」、「どのような利用技術があるのか」を、アンドールでの開発事例をもとに、図やデモ動画でわかりやすくご紹介いたします。

エッジ AI とは

『エッジ AI』とは、IoT 機器や測定装置などが設置されている現場(エッジ)で AI 処理を行うことを意味する言葉です。 装置から見て外部(インターネット)との境界をエッジと呼び、エッジでデータ処理を行うことをエッジコンピューティングと呼びます。

エッジAIではエッジコンピューティングでAI処理を行います。インターネット経由しクラウド上で AI 処理を行う場合は『クラウド AI』と呼ばれます。 AI の演算処理は非常に負荷が重く、従来は専用サーバやクラウド AI で処理する方式が一般的でしたが、 近年の AI アルゴリズム、ハードウエアの進化により、IoT 機器などで AI の推論処理を実行することが可能となりエッジ AI が急速に増えています。

エッジ AI のメリット

AI の開発や運用はクラウドサービスの一つである、クラウド A I が一般的でしたが、組み込み用CPUやGPUなどハードウエアの演算能力の進化により IoT 機器自身のハードウエア上で AI の 推論処理ができるようになると、エッジ AI ならではのメリットを生かせる分野では急速にエッジAIが広がり始めました。

主なメリットは以下の 4 つがあります。

●リアルタイム性

クラウドコンピューティングを利用する場合には、IoT 機器とインターネットで接続されますが、インターネットはその性質上データのネットワーク転送に遅延があり、状況により転送速度は可変し場合によっては転送できなくなります。
IoT 装置がリアルタイム性を必要とする場合にはエッジ AI が有効です。

●安全性

インターネットの利用ではウイルスや情報漏洩などセキュリティ上の課題に対する対応が重要です。エッジ AI では、内部情報を外部ネットワークを介さずに処理するため、安全性が保証できます。

●最適化

クラウドの利用では、汎用的なサービスに合わせた運用になります。一方、エッジAIでは現場での状況に合わせた最適化が可能です。

●コスト

現場でのIoT装置のハードウエアを利用する場合には、外部ネットワークに対応するコストや、クラウドサービスでの費用が不要となります。また、IoT に必要なハードウエアとエッジ AI 向けのハードウエアを最適化することでコストが削減できます。

エッジ AI にできること

AI 処理で近年急速に利用が広がっている画像認識では、ディープラーニングという機械学習手法が使用されます。ディープラーニングの処理はコンピュータでの並列演算の性能に大きく依存するため、クラウドコンピュータや PC での利用では画像処理アクセラレータGPU を利用し演算性能を強化することが一般的です。

IoT 機器ではエッジ AI を組み込み用コンピュータやマイコンで動作させる場合には、クラウドやサーバでの処理に比較して演算性能が不足します。しかし、ここ数年で組み込み向けの GPU や、TPU など AI 演算専用のアクセラレータが安価に提供されており、画像認識等も動作させることが可能となりました。
画像からの人や物の分類、動き検出、異常検出などが可能となり、エッジ AI でできることは広がっています。工場のカメラ、センサ機器での例を示します。

●動きの検出

人や物を識別し位置情報を取得します。工場の作業者の動線検出や危険な場所への接近時の警告などの応用が考えられます。

●状態認識

画像から形状や外見の判断を行います。製品組み立時の形状判定や、食品の製造工程での焼け具合の状態判定などが可能になります。

●分類、特定

人や物を分類し特定します。部品や箱など、画像から学習した形状や色による分類や結果を利用した傾向分析等が考えられます。

エッジ AI の開発事例

●姿勢推定(POSE)

AIのアプリケーション例としてよく目にするものに人間の姿勢推定であるPOSEがあります。リアルタイムに画像内の人の関節位置を推論しフレームで人の位置を表示します。 動画でも静止画でも利用可能で応用範囲の広い技術です。
当社では、本技術をベースとしたエッジAIのデモを開発していており、以下でご紹介いたします。

●危険領域判定システム

ディープラーニングによる Pose(人の骨格認証)技術を利用した危険領域判定システムです。カメラからの画像から人の位置を推定し、あらかじめ設定した危険領域に近づくとアラームを発します。
POSE技術では平面(2 次元)での判定しかできませんが、同じくディープラーニングによる Depth(深度推定)の技術を併用することにより立体(3次元)での判定を可能としました。
デモ画像では、事前に設定した危険領域と人物の胸の位置をリアルタイムで比較し、危険領域の場合には胸のマーカを緑から赤に変更します。ドアの外部を危険領域としていますが、ドアを通過するときのみ等、一定の奥行のみの指定も可能です。

●自動プレゼンシステム

展示会等でのプレゼンテーションを自動実行するシステムです。
このシステムは、カメラからプレゼン用モニタの正面を監視し、通常はモニタにPOSE による骨格フレームの映像を表示しています。
人の視線が画面を見ていると判断した場合には、「もっと近くに来てください!」と声を掛けます。
モニタの正面近くに人が立った場合には、お礼を言い、プレゼンテーションを開始します。
プレゼンテーション中に人が離れたり、視線が一定時間離れている場合には、プレゼンテーションを終了します。

●三角コーン認識による危険領域検知

ディープラーニングによる画像の物体識別と、前述のPOSEを組み合わせることで、より自由度の高い危険領域検知システムを開発しました。
物体識別では、あらかじめ三角コーンを学習し画像内から識別することができます。このデモでは、「赤い三角コーン」を危険領域とみなし、POSEで認識した人が赤い三角コーンに接近すると画面上の文字で危険を通知します。
デモ動画の途中で赤い三角コーンが追加されます。それまで安全領域だった場所が危険領域として認識されている点をご覧ください。

●自動体温測定システム

サーモセンサとPOSEを利用した非接触の体温測定システムです。
本システムのハードウエアは、ラズベリーパイシステムにサーモセンサをシリアル接続して構成しています。
サーモセンサはサーモグラフィカメラモジュールを使用しています。赤外線を感知し離れた位置の温度を測定できます。
感染防止などの観点から自動計測とするため、POSEを利用し顔がサーモセンサの正面にあるかを判断しています。
デモ動画では、体温が高い場合の動作確認のため、使い捨てカイロを使用しています。

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